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「紙漉」実践。まずはお手本拝見。
この道数十年?のベテラン先生。
まず簀を水に浸けておく。
今回練習に使用する「楮」パルプ。
ソフトボールくらいの大きさを取る。
漉き舟に投入、手で軽くほぐす。
「馬鍬(「まぐわ」「ませ」など呼び方は
いろいろ)」でしっかり攪拌する。
「ネリ」を加える。ボールに一杯分くらい。
今回は化学ネリを使用。便利なんだけどね・・・
さらに馬鍬で攪拌、最後に「ばい竹」で
しっかり切るように混ぜる。
これが全然難しい。
上手いと音が「ジャッジャッジャ」とカッコイイ。
この時の「水」の感触は、思った以上にねっとり。
職人さんは音でネリの少ないのがわかる。
簀桁を持って、紙漉開始。
まずは「初水、掛け流し」
浅くすくった水を素早く、繊維が均等に
薄く全体に行き渡ったところで 、塵ゴミが残らないように、
一気に残りの水を捨てる。(勢い、キレが大事)
この際や、途中で目立つ塵ゴミがあれば
先にピンセットで細かく手を揺すりながら、
そっと取り除く。
(ユズバラ(柚のトゲ)を使う)
続けて「調子」
この段階で汲む繊維の量や、回数で
紙の厚さを決めていく。
水を簀桁に汲む時に注意する事は
水に入れる角度。少し簀桁を縦気味に越して
スッと滑り込ませるように入れてすくう。
水面から持ち上げ、「重さ」はバネに預けて、
手の位置は左右それぞれ桁の手前の方を握り、
簀桁が水平になるように保つだけ。
水平になったところで前後に揺する。
捨てる用の水を十分に残しつつ
水がだんだん濾されて、繊維も定着してきたら、
残った水の大方は一旦、桁を前に押し出して捨て、
少し残った水を手前に桁を引き傾け一気に捨てる。
この時、水が少なすぎると簀の上を流れる水が
まばらになり、その分繊維の凹凸ができるので
捨てる水の加減を考える。
特に初水の次ぎ、一度目の調子の時は
まだ、簀に定着している繊維も薄く、
水が切れるのが早いので、素早く優しく、
揺する時間も短く、捨てる水の量に気を付ける。
この時、桁の中に十分な水が残っていて
揺する事で塵ゴミを沈めず「紙」に定着するのを防ぐ。
この調子を2回3回と望む厚さになるよう
繰り返す。定着した繊維から透けて見える
簀の様子などからも厚みがうかがえる。
最後に「捨て水」
初水と同じくらいの水を汲み、
軽く揺すって一気に水全部を前に
押し出して捨てる。
そしてバネの力を利用して上下に「ジャン」と
振って、水を切る。
この工程はかなりリズミカル。
上手くいくと気持ちいい。
桁は両手で持ったまま、両サイドに置いてある
おっとりに乗せるため、右の引っかけがある方に
桁の底を引っかけて左に寄せ、
おっとりに簀桁を乗せる。
そっと、上桁をあげる。
紙が一枚一枚剥がしやすいように、
手前5mmくらいの所にリボンをのせる。
いよいよ「伏せ」
左手で簀の手間(親刃)の真ん中を持ち、
手前に寄せながら引き上げ、下から右手で
奥側の親刃の真ん中を持つ。
そのまま左手を頭上に持ち上げ、
頭の上を通過してクルリと体の向きを変える。
後に置いてある毛布を引いた紙床板へ向き、
左手側をあらかじめセットしていた定規に合わせる。
この時、簀は絶対前にねかせない。
水滴が落ちて、前に伏せている湿紙を傷めないように
気を付ける。
そのまま平行に空気が入らないように、伏せていく。
この時右手は前に出しつつ、直角を保つ。
そっと左手で空気を追い出すように左右に
なでていっても良い。
右手を離すまで気を抜かない。
写真はないけれど、簀をめくる作業も
かなり息を止める。
手前の親刃を垂直に起こしつつ
軽くトントン下に叩く。
湿紙の端を上手く簀から外すためだ。
簀が古かったりすると、糸が切れていたりして
隙間が大きく、そこへ繊維が絡まり、
簀から外れにくくなっていたりする。
それでも外れない場合は、そっと手で剥がしてやるか、
簀の上から水をかけてやると良いそうだ。
私は簀のせいなのか、なかなかこの剥がす
作業に苦労した。
端が上手く外れると、親刃の真ん中を右手で持ち、
向こうへ鋭角に簀を剥がしていく。
鋭角に剥がしていく事で、繊維がキレイに簀から剥がれる。
これも最後まで気を抜かない。
剥がした簀はそのまま右手でもってクルリ、
漉き船の方に向く。(体側が湿紙がついてた面)
右手手前で左手を添えてポンと、桁に簀を戻す。
そうすると先ほど漉いた面が下になり、
次ぎ紙を漉いている時に、ゆすがれる事にもなる。
つまり、簀の裏表を交互に使う事になる。
良くできたリズム。
これを繰り返し、漉き舟の繊維やネリの量が
足りなくなってきたら一旦止めて、
繊維やネリを加え、馬鍬とバイ竹で攪拌する。
ついでに桁についた繊維も軽く取っておく。
この間、簀が乾かないように湿紙に伏せたままにしておくか、
繊維が絡まっているようなら水槽に浸けてゆすぐ。
簀の部分を手でごしごし触れてはダメ!!
あくまで水ですすぐ。
こうやって思い出しながら書いているうちに、
もっともっと今すぐに紙漉がしたくてウズウズしてくる。
美しい作業だな。
この道数十年?のベテラン先生。
まず簀を水に浸けておく。
今回練習に使用する「楮」パルプ。
ソフトボールくらいの大きさを取る。
漉き舟に投入、手で軽くほぐす。
「馬鍬(「まぐわ」「ませ」など呼び方は
いろいろ)」でしっかり攪拌する。
「ネリ」を加える。ボールに一杯分くらい。
今回は化学ネリを使用。便利なんだけどね・・・
さらに馬鍬で攪拌、最後に「ばい竹」で
しっかり切るように混ぜる。
これが全然難しい。
上手いと音が「ジャッジャッジャ」とカッコイイ。
この時の「水」の感触は、思った以上にねっとり。
職人さんは音でネリの少ないのがわかる。
簀桁を持って、紙漉開始。
まずは「初水、掛け流し」
浅くすくった水を素早く、繊維が均等に
薄く全体に行き渡ったところで 、塵ゴミが残らないように、
一気に残りの水を捨てる。(勢い、キレが大事)
この際や、途中で目立つ塵ゴミがあれば
先にピンセットで細かく手を揺すりながら、
そっと取り除く。
(ユズバラ(柚のトゲ)を使う)
続けて「調子」
この段階で汲む繊維の量や、回数で
紙の厚さを決めていく。
水を簀桁に汲む時に注意する事は
水に入れる角度。少し簀桁を縦気味に越して
スッと滑り込ませるように入れてすくう。
水面から持ち上げ、「重さ」はバネに預けて、
手の位置は左右それぞれ桁の手前の方を握り、
簀桁が水平になるように保つだけ。
水平になったところで前後に揺する。
捨てる用の水を十分に残しつつ
水がだんだん濾されて、繊維も定着してきたら、
残った水の大方は一旦、桁を前に押し出して捨て、
少し残った水を手前に桁を引き傾け一気に捨てる。
この時、水が少なすぎると簀の上を流れる水が
まばらになり、その分繊維の凹凸ができるので
捨てる水の加減を考える。
特に初水の次ぎ、一度目の調子の時は
まだ、簀に定着している繊維も薄く、
水が切れるのが早いので、素早く優しく、
揺する時間も短く、捨てる水の量に気を付ける。
この時、桁の中に十分な水が残っていて
揺する事で塵ゴミを沈めず「紙」に定着するのを防ぐ。
この調子を2回3回と望む厚さになるよう
繰り返す。定着した繊維から透けて見える
簀の様子などからも厚みがうかがえる。
最後に「捨て水」
初水と同じくらいの水を汲み、
軽く揺すって一気に水全部を前に
押し出して捨てる。
そしてバネの力を利用して上下に「ジャン」と
振って、水を切る。
この工程はかなりリズミカル。
上手くいくと気持ちいい。
桁は両手で持ったまま、両サイドに置いてある
おっとりに乗せるため、右の引っかけがある方に
桁の底を引っかけて左に寄せ、
おっとりに簀桁を乗せる。
そっと、上桁をあげる。
紙が一枚一枚剥がしやすいように、
手前5mmくらいの所にリボンをのせる。
いよいよ「伏せ」
左手で簀の手間(親刃)の真ん中を持ち、
手前に寄せながら引き上げ、下から右手で
奥側の親刃の真ん中を持つ。
そのまま左手を頭上に持ち上げ、
頭の上を通過してクルリと体の向きを変える。
後に置いてある毛布を引いた紙床板へ向き、
左手側をあらかじめセットしていた定規に合わせる。
この時、簀は絶対前にねかせない。
水滴が落ちて、前に伏せている湿紙を傷めないように
気を付ける。
そのまま平行に空気が入らないように、伏せていく。
この時右手は前に出しつつ、直角を保つ。
そっと左手で空気を追い出すように左右に
なでていっても良い。
右手を離すまで気を抜かない。
写真はないけれど、簀をめくる作業も
かなり息を止める。
手前の親刃を垂直に起こしつつ
軽くトントン下に叩く。
湿紙の端を上手く簀から外すためだ。
簀が古かったりすると、糸が切れていたりして
隙間が大きく、そこへ繊維が絡まり、
簀から外れにくくなっていたりする。
それでも外れない場合は、そっと手で剥がしてやるか、
簀の上から水をかけてやると良いそうだ。
私は簀のせいなのか、なかなかこの剥がす
作業に苦労した。
端が上手く外れると、親刃の真ん中を右手で持ち、
向こうへ鋭角に簀を剥がしていく。
鋭角に剥がしていく事で、繊維がキレイに簀から剥がれる。
これも最後まで気を抜かない。
剥がした簀はそのまま右手でもってクルリ、
漉き船の方に向く。(体側が湿紙がついてた面)
右手手前で左手を添えてポンと、桁に簀を戻す。
そうすると先ほど漉いた面が下になり、
次ぎ紙を漉いている時に、ゆすがれる事にもなる。
つまり、簀の裏表を交互に使う事になる。
良くできたリズム。
これを繰り返し、漉き舟の繊維やネリの量が
足りなくなってきたら一旦止めて、
繊維やネリを加え、馬鍬とバイ竹で攪拌する。
ついでに桁についた繊維も軽く取っておく。
この間、簀が乾かないように湿紙に伏せたままにしておくか、
繊維が絡まっているようなら水槽に浸けてゆすぐ。
簀の部分を手でごしごし触れてはダメ!!
あくまで水ですすぐ。
こうやって思い出しながら書いているうちに、
もっともっと今すぐに紙漉がしたくてウズウズしてくる。
美しい作業だな。