阿波手漉き和紙研修・その9

自分で漉いてみる。
生まれて初めて、簀桁を持って
楮をすくって、揺すってみる。

うまく行かない。
重たい、はじめからうまくいく訳ないと
わかってるけど、先生のようにリズム良く
力抜いて揺すれない・・

結局、途中でわかったのは桁を支える
「バネ」がすごく弱くて、伸びてしまっていたから
なんだけど・・・
それもはじめはわからなかった。

バネを調節してもらい、言われてる意味が
だんだんわかってきた。
初水、次の調子。
まずは桁を水平に保つ事を意識して、
両手は桁の持ち手をホンの少し支えるだけ。
自然と手の一も手前になってくる。
水平を意識して揺する。
特に初めの方は直ぐに水が切れるので
素早く、塵ゴミが沈まないよう、素早く。
早めに水を切って、次の調子へ。

わかってくるとおもしろい。
でも、このリズムがわかってきたのって、
翌日の午後、最終くらいになってから。

初めて自分で漉いたこの日の研修は、
昼から始めて夕方までで、夜の講習はお休み。
阿波踊り最終日と言う事もあり、
みな5時頃に作業を終えて、電車に乗り
出かけていった。
私は数年前に見に来た事があったし、
「漉き」のリズムが少しわかりかけていて
一人居残り、モクモクと漉き続けた。

一人で広い作業場で静かに紙を思って
いや、何も考えてなかったかも、
とにかくすごく「いい時間」だった。
あの、夢中になって集中してる時の気分、
あれが良い。
あの気分、すごく久しぶりだった。
純粋にモノヅクリしてた。

これをもっと味わい。
何となく紙漉をやっていきたいと
思い始めた瞬間だと思う。










職人さんが作っているのは
時計の盤、厚くて丸い。
ピザ生地のように美味しそうに並ぶ。


この日も暑かった。徳島を貫く吉野川。
さぁ、あと二日。ガンバロウ!